スタッフエッセイ 2008年10月

私の問題解決ストラテジー

桑田道子

 小・中学生の子どもたちの野外キャンプにスタッフとして参加したときの話。「バラって漢字で書けるか?レモンは?コンニャクは?」と難しい漢字を書いてみることになった。読めるし、なんとなくわかっているような気になっているけれど、いざペンを持って書いてみると…書けない。降参して、答えを見てみると「そうそう、これこれ」と思う。が、答えを隠してその場ですぐにもう一度書いてみようと思っても…書けない。今、見たばかりなのに。山中でのキャンプはテレビやゲームなんかもないし、夜は暇なので、皆で「覚え方を考えてみよう」というとっても高尚な時間になった。とにかく、偏やつくり、上中下に分けてみたり、よく知っている他の漢字を持ってきたり、もしくは連想ゲームのように覚え方を作ってみたり、いろいろ考えてみた結果。

●バラは…、植物だから草冠。【薔】は、土のなかに人がふたつ、で、回。【薇】は、微笑の微に似ていて、山の下に一を書いて、その下は机の右(几)。

●コンニャクは…、芋から出来ているから植物の仲間で草冠。【蒟】は、立つに句。【蒻】は弱い。

●レモンは…、木に生るから木偏。【檸】は丁寧の寧に似ていて、四(横になった目)が皿。【檬】は、草冠の下が家に似ていて、家の1画目が(ウカンムリ)が、カンムリの下にくる。

 その他にもブドウ(葡萄)とか、チミモウリョウ(魑魅魍魎)など、「知ってるけど書けない語集」を出し合って楽しんだ。上記のように文字にしてしまうと結局わかりにくいかもしれないが、これが実際に書いて覚えると、すんなり頭に入って記憶できる。今なら、私も薔薇も蒟蒻も檸檬も大丈夫。書ける!

 受験期には、年号や人名の覚え方とか英単語の覚え方とか、歌にしたり、覚えやすい覚え方、記憶術のようなものがあったりしたが(一番シンプルで私に合っていたのは、歩きながら、声に出して覚えることだったけれど)、久しぶりに漢字をこねくりまわしたりしながら思ったことは、「えー、無理」と思ったこともちょっとずつ分けてみれば出来るようになる!ということだった。

 しなくてはいけないこと、検討しないといけないことが次から次へとわいてきたり、絶対自分には出来そうにないように思うのに任された仕事があったりして、頭がワーッとなるとき、まず、その課題を細分化していくというのはよく言われることだが、その問題解決方法を私はまだ自分のものに出来ていなかった。けれど、なぜか子どもたちと一緒に楽しんだ漢字遊びから、そのクリア方法がイメージ出来たように思う。

 とにかく課題を書き出す。どんな小さなことでも、大きなことでも。抽象的でも構わない。それから、その一つ一つを細かく小さな課題に落としていって、それぞれに期限を設ける。お尻に火がつかないと動き出さない私のようなタイプには、細かくした課題の一番小さなものは、今すぐにでも出来そうなぐらい簡単なことにまで落としておくことがポイントで、もともとの課題は「○日までに、○についての企画書」だったのが、一番下の課題は「○さんに電話」だったりする。あれこれ考えたり、悩んだりせずにすぐに出来ることをスタート地点に持ってきておくことで、その課題に取り組むこと自体が億劫というしんどさがなくなるし、ゼロとイチの差は大きくて、1歩コマが進んでしまえば次の課題も見えているので流れが出来る。

 課題を挙げることも、細分化することも、最初は時間がかかったりして、それをやるだけでなにか仕事をした気になりかねないところもあったが、どんどんやればやるほど慣れてきて、今では、その作業は電車の中で携帯でやる、というペースが出来た。この細分化は、課題に限らず、夢のようなもの、こうしていきたいとかこうなったらいいのにというようなものでも効果アリで、いろんな場面で使える。

 といっても、まだまだまだまだ修行の身。課題をこなしていくことも、満足いく結果に仕上げていくことも山ほど努力が必要。少しずつ手を伸ばして、頑張っていこうと思う。

(2008年10月)