スタッフエッセイ 2008年5月

歌は世につれ、世は歌につれ

津村 薫

 私の人生は、いつも歌と共にあると思うほど、歌が大好きな私、自分でも歌ったり、詩を書いたりした時代もあって、思い出すと顔から火が出そうだけど(笑)、歌には本当にお世話になって、大きくなった。今日は、それを書いてみることにしよう。

 CX系で過去に、「夜のヒットスタジオ」という大人気の歌番組があった(『ウィキペディア(Wikipedia)』によれば1968~1990年)。私もよく見たものだ。今、同系列の「とくダネ!」という朝のワイドショー番組で、毎週木曜の朝に、「朝のヒットスタジオ」という名物コーナーがある。一世を風靡した名曲を、本人が出てきて歌うものだけれど、これには興味津々で、時間が許せば見ることにしている。

 話は横道にそれるが、過去にヒットを飛ばした人が、懐古特集番組などで出てくることがよくある。再結成ブームでもあることだし。ただ、歌うキーが大幅に下がっていたり、歌唱力が思い切り落ちていたりすると、落胆させられることもよくある。たとえば、ピンク・レディーなどは、もしかして歌や踊りの技術が当時よりもアップしたのではないか?と思うほどだ。体型もあの頃とほぼ変わらないままだし、美しくも見事な再結成を見せてくれたけれど、「うーん、ちょっとなあ」という再結成が多いのも、正直なところだ。

 そんな中、このコーナーに出てくる人は、私が知らないだけで、今も現役で良い活動をしている人が多いのだろう。さらに円熟味を増した魅力的な歌声を聴かせてもらえることが少なくない。たとえば、杉山清貴に渡辺美里、もんたよしのり、素晴らしかったなあ。何を隠そう私は、若い頃は杉山清貴が大好きで、夫とのデート中、車の中で必ず流れているといえば、杉山清貴だった。ユーミンに大滝詠一、サザンにラジ、門あさ美。まさに青春って感じ(笑)。出演するシンガーたちには、他にも素敵なヒット曲があるので、それも聴きたいけれど、残念。「ふたりの夏物語」を歌った杉山清貴。私は、「SUMMER SUSPICION」や、「サイレンスがいっぱい」「君の瞳はマリンブルー」も聴きたいぞ〜。

 中西保志が「最後の雨」を熱唱したと聴いた時は、見逃して本当に残念に思った。くやしい〜。ネット情報では、この放映後、問い合わせが相次いだのだとか。なんといっても「最後の雨」は良い歌だもんね。でも、録画するのをつい忘れてしまうんだよね(汗)。
 少し前に、中西圭三が出て、名曲「Woman」を熱唱したのは、生で見られたが、大感激だった。彼は、「Choo Choo TRAIN」の作曲で名高い。個人的には、「A.C.E.」が最高に好きだった。歌声も素晴らしく、うっとりと聴き惚れた。
ここで、当時のエピソードなどを知ることができるのも楽しいのだが、彼はデビュー前に、普通に就職しようとして、母親に「あなたがやりたいのは音楽でしょう!」と叱られた経験があるのだとか。名曲が生まれる背景に、息子の背中を押して、好きなことをしろと応援した母親の力があったという話は、ちょっと感動的だった。

 「生き残れるのは、ひと握りなんだから」、こんな言葉で、現実の厳しさを説き、無難な方向に流れていくことを後押ししてしまう教育が主流な中、それでも「好きなことをしなさい」と我が子を応援することは、並大抵ではないと思う。そして彼は、日本のミュージックシーンに多大な影響を与え、多くの人に喜ばれる歌を出し、曲を作り、高く評価された。「Choo Choo TRAIN」をひっさげてZOOが出てきた時は、この斬新な曲とカッコいいダンスに、本当にホレボレしたものだ。

 母親の、その一言がなければ、あるいは「Woman」は、「Choo Choo TRAIN」は、「A.C.E.」は生まれることはなかったのかもしれない。いや、それはもったいなさすぎるぞ、こんな名曲たち。良かった、こんな素敵な歌を生み出してくれて、感謝。ひとつのドラマを見るような気持ちで、歌を聴かせてもらった。好きなことに取り組むって、大事なことだよなあと、しみじみと感じた出来事のひとつ。

 歌は世につれ、世は歌につれ。娘が好む歌は、私には記憶に残りにくいけれど、娘にとっては、気持ちが動く、魅力的なものが多いらしい。そういえば私が盛んに聴いていた音楽を、母は「なに言ってるか日本語が聞き取れへん〜」とか、「テンポが速すぎてついていかれへん〜」なんて言ってたっけ(笑)。それでも、両親共に、家の中でよく歌を口ずさむ人だったこともあってか、私の歌好きは、子どもの頃からだ。

 こないだ、友人と、「昭和歌謡を歌う会」を結成して集まろうかという話になった。どこまでも終わらなさそうな会だね〜(笑)。ちなみに私の十八番は、山口百恵に野口五郎、伊藤咲子にいしだあゆみ、岩崎宏美、松田聖子、河合奈保子などかな。今度は、青い三角定規なんかもトライしてみようかな。あっ、気づいたら、また鼻歌をふんふん口ずさんでるわ、私(笑)。

(2008年5月)