スタッフエッセイ 2008年5月

丁寧に暮らす

窪田容子

 子どもたちがもっと小さかった頃は、今より時間に余裕がなく、子育てに仕事にと毎日とても忙しかった。本当によく頑張ってたなぁ。それはそれで楽しかった。子育てが少し楽になってきて、毎日の生活をもう少し丁寧に過ごしたくなってきた。

 体を大切したいと思うのもその一つ。夫と子どもたちが始めた朝のジョギングだったが、春休みにはご近所のご家族と7、8人集まって走るようになり、あんまり楽しそうだったので、朝は少しでも寝ていたいと思っていた私も参加してみた。朝のすがすがしい空気を吸って、桜を眺めながらジョギングして、お寺に着く。3、40人ぐらいの人のラジオ体操の輪に入り、体をストレッチして帰ってくる。血行が良くなるためか、体も頭も目が覚める感じで、とっても気持ちがいい。春休みが終わって、ジョギングはお休みになったが、先日思い立って、子どもを誘って再開した。子どもも朝走る気持ち良さを体験したので、一緒に走ったり、今日は止めとくとパスしたり。そう、無理しないことが大切。私も目覚ましをかけず、早く目が覚めたら行くし、目覚めなければ行かない。それでいい。

 整骨院にも時間がなくてなかなか行けないでいたけれど、先日、新しい整骨院を見つけて行ってみた。完全予約制で、個室で、丁寧に治療してくれる。体も気持ちいいし、大切にしてもらってるという感じで、心も気持ちがいい。治療してもらいながら、あれこれおしゃべりするのも楽しい。体のメンテナンスと自分へのご褒美に、ときどき通おう。私よりやや若いこの女性の先生とは、長い付き合いになるかもしれないな。

 お隣に住んでいる方は、秋には栗や柿、春には掘りたての筍や、もぎたてのサヤエンドウなど、季節の味覚をお裾分けしてくれる。そこの家からは見えない場所なのに、生け垣の我が家側に、私の大好きな初雪カヅラを植えてくれたり、菊が咲いたときには、見せてもらいに伺った。
 お向かいの方は、ちょくちょく鉢植えの植物をくれる。玄関先に飾っていると、花が終わった頃に、また別の植物に取り替えてくれる。頂いた鉢は、もう10個を超えているだろうか。仕事に出かけようと家を出て、桜草や、小手鞠などの鉢が我が家の入り口にそっと置かれてあるのを見つけたときのうれしさ。夕方仕事から、疲れたな〜と帰ってきて、素敵なハーブの寄せ植えの鉢を置かれているのを見つけたときには、疲れがふっとんで、気持ちがほぐれていく。私もかすみ草やシソの苗を、何人かにお裾分けした。
 ご近所の植物が我が家に、我が家の植物がご近所に根づいていくように、引っ越してきた私たち家族も、少しずつこの場所に根づいていくんだなぁと思う。子どもが遊んでもらったり、お菓子をもらったり。ちょっとした優しさをかわす、そんなゆるやかで温かなつながりが嬉しい。

 西洋朝顔のヘブンリーブルーを植えた。この夏は、南側の大きな窓いっぱいに、ヘブンリーブルーのつるを這わせて、緑のカーテンを作ろうと思っている。日よけになるし、風は通り抜ける。そして、窓一面が綺麗なお花で覆われたら素敵だろうな。門の近くにおじき草の鉢を置いたら、子どもたちが、毎朝あいさつするかのように触って登校していく。小さな庭に、ミントやレモンバームを植えた。ほっとしたい夜には、摘み取ってハーブティを楽しんでいる。子どもたちと一緒にトマトやオクラなどを植えたので、収穫を楽しみにしている。

 とはいえ、仕事も子育ても、まだまだかなり忙しい毎日だ。夜中までパソコンに向かっていることもある。だけど、ちょっと気持ちに余裕を持てたら、ほんの少し丁寧に暮らすことが出来れば、豊かな時間が生まれてくるんだなぁと思う。

(2008年5月)