スタッフエッセイ 2008年2月

からだを動かす

津村 薫

 小さな頃から、痩せていて、ちびだった。大人になってからも華奢で、7号サイズだった時代が長かった。というと、現在の私しか知らない人には「え〜っ」と言われるだろうな。それは子どもを産む前の話。産後はしっかりと脂肪を蓄えきてしまった。

 でも、元気なので、特に気にせず生きてきたら、あまりの体重増加が、健康診断にひっかかり、保健師さんに叱られる事態に。集団検診だから、カーテン1枚の向こうには、人がいっぱい。カーテンを開けて出てきて私に、容赦ない視線が浴びせられる。恥ずかしいぞ(涙)。

 しかも、今まで再検査など受けたことのない健康優良児だった私に、「精密検査要」という現実が突きつけられた。これにはショックを受けた。ただ、精密検査で異常は発見されず、今のところ、それは大変な事態に至っていないが、肥満がリスクを高めることも知った。これはもう、痩せなければ。

 まず最初に私がしたことは、肥満のメカニズムについて医師が書いた本を読むことだった。「過激なダイエット法の多くは、からだの脂肪と一緒に大切な筋肉や骨まで減らしてしまい、やせるというよりもやつれて体調を崩してしまうというトラブルを誘発することが多いのです。健全なダイエットの大原則は、からだについて余分な脂肪だけを適度に減らして、大切な筋肉や骨は損なわず健康に美しくやせることです」(大野誠『正しい知識でダイエット 体脂肪完全燃焼!』新星出版社)。

 そもそも、単品ダイエットとか、飲めば痩せるサプリなどというものには懐疑的なので、それは視野にない。何にせよ、バランスが悪いことは、結局は自分に悪影響を及ぼすだろう。大切なのは、運動をして、筋肉量や骨量を増やすこと。基礎代謝量をアップして、脂肪が燃えやすいからだを作ることだと理解して、筋トレを開始した。

 最初は、スクワットを100回とダンベルも100回、腹筋が30回というトレーニング。これを半年続けた。からだの調子は良くなってきたけれど、そんなに体重は減っていかない。さあ、どうしたものかな?と思っていたら、いつも通っている整骨院の人が、「ビリーズブートキャンプをやっている」という情報を某スタッフがくれたのだ。

 それは興味津々。それで、「ビリーって、どうですか?」と整骨院の人たちに聞いてみた。「いいですよ。からだが変わっていくのがわかります。津村さんも、もうちょっと負荷をかけた、ビリーみたいなエクササイズをやってみたらどうですか」と言われ、私のトレーニングには、「ビリーズブートキャンプ」が加わった。

 これはハード過ぎて続かないという評判が高い。ところが私は、最初から面白くて、つらいと思うこともなく、生活の一部になっていった。これは半年の筋トレが効いているのだろう。わからなかったけれど、あの半年のトレーニングは、私に基礎体力をつけてくれたのだろうと思う。出不精の私にとって、在宅でできるエクササイズは合っていただろうし、ビリーから、「君ならできる」と励まされ(笑)、これを楽しく4ケ月ほど続けられた頃、私は8kg強の減量に成功していた。

 秋の繁忙期以降は、トレーニングするパワーが残っていない事態に遭遇した。どうしたものかと考えたが、最初の頃は、ビリーの「最終プログラム」(一番ハードな応用プログラムは1時間近くあるが、これはその半分くらいの時間だ)をやることにした。それすらも無理という事態になった時は、またダンベルを持ったり、スクワットをしたり、ストレッチをしたりして、休憩日を設けてでも、からだを動かすことを完全にやめないようにした。

 食事については、「ご飯を食べない」など、後で反動がきそうな無茶なことは何もしないようにした。ただ、腹八分目を心がけ、できるだけ間食も控えるといったくらいだ。お腹いっぱい食べるのが当たり前のようにしてきた私は、最初はとまどったけれど、運動を続けて、明らかに体重が落ちてきた頃、食事制限は、特につらくなくなってきた。

 そして、今もリバウンドは起きていない。まだ減少傾向にはあるようだ。一番起きた変化は、自信がついたことじゃないかな。運動音痴の私が、からだを動かすことは楽しいんだと気づいたことが一番の収穫。そして、苦手な分野だったけれど、やればできることもあるんだなと、少しは自信もついたと思う。

 私は、もともと身体感覚がとても鈍いので、体が悲鳴をあげるまで、その異常に気づいてやれないようなところがあったのだと思う。からだを動かすことは、私にからだの声を聴く力を少し授けてくれたような気もしている。

 今は、多忙でちょっとからだがグロッキー気味かな。よくいたわってやりながら、少しずつでもトレーニングは続けようと思う。やたら必死に打ち込むか投げ出すかという極端なことではなく、息長く続けられるといいなと思う。自分のからだとは、まだまだ長くより良くつきあいたいものね。

(2008年2月)