スタッフエッセイ 2008年1月

コーヒー

桑田道子

FLCでは、会社会議の日には、コーヒー党と紅茶党のために両方が用意される。何時間も続けて会議のある日には、おかわりがスタッフのお土産の中国茶になったり、ハーブティになったり、とても充実している(先日も工芸茶のお土産があり、来月の会議での登場が楽しみ!)。

私は、コーヒーも紅茶も日本茶も中国茶も好きだが、なかでも、コーヒーは、豆やいれ方にちょっとこだわってしまうぐらい大好きである。余談だが、「こだわり」という言葉は「こだわりの一品」なんて言葉を耳にすることもあるため、「なにかしら、ちょっとした自分の好みの徹底で、譲れないもの」というようなイメージがあったのだが、そもそも「些細なことにとらわれる、執着する」「なんくせ、文句をつける」というようなマイナスイメージの意味らしい。

たとえば、装いがおしゃれな目上の人に、ほめ言葉のつもりで「こだわってますね〜」というのは間違いだとなにかの本で読んだ。言葉は生き物で、時代とともに変化するとはよくいわれることだが、流行り言葉だけではなく、本来はマイナスの意をあらわしていた言葉が、プラスの意味をもつ言葉となったり、誤用が慣用となって一般に馴染みがあったり、同じ時代を生きていても、年配の人と若者とでは使い方に違いがあったりして、面白みもあるけれど難しいものだなと思う。

閑話休題。コーヒーを楽しむには(コーヒーに話を戻すことが本筋かどうかはわからないが)、●生豆 ●焙煎 ●抽出 の3つのポイントがある。豆はとにかく鮮度が命で、新鮮なものが抜群に美味しいが、見た目でいうと、光沢のある濃い緑色のもの。水分が多いと緑色が濃くなり、それだけ新鮮さの表れである。そして、豆の大きさや厚みが揃っているものが理想的で、値のはる豆になると、手作業で選別されているらしい。

この豆をロースト(焙煎)することでコクのある味と香りを引き出すが、煎り時間や火力は、豆の種類や鮮度、飲み方にあわせて調節しないと、豆のもつコーヒー本来の美味しさを最大限に引き出すことができない。豆にあわせて「浅煎り・中煎り・深煎り」を選びつつ、煎りムラがでないように均等に火を通して、水分を蒸発させる。一般には、浅煎りすると酸味が強く(クエン酸、リンゴ酸の生成)、深煎りすると苦味が強く(糖質のカラメル化)感じられるというが、同じ時間、深煎りしたとしても、豆によって、酸味が出るもの、苦味が出るものと違うので、自分の好みの味にあわせて、豆と焙煎方法を選ぶ。

そして、豆を挽いて、抽出。豆を挽くのも、機械挽きと手挽きでは味が変わってくるし、ここでも豆の種類、抽出の仕方にあわせて、粗挽きから細挽きまで適した挽き方を選ぶ。抽出方法は、一般的なペーパードリップ、ネル(布)ドリップ、サイフォン、イブリック…など様々あり、豆や飲み方にあわせて好みの方法を選ぶ。

と、ここまで書いて気づくのは、好みの味があって、美味しくいれるために工夫するところがすこし化学的で、こうしたらどうかな?もうちょっと時間を減らしたらどうなる?と実験しつつ、追求していくのが楽しいんだと思う。夫もコーヒー党なので、夕食後の一杯が日課になっているが、口先の細いコーヒー用ポットからお湯を注いで、コポコポとドリップされるときに香る、かぐわしいコーヒーのアロマに「あぁ、しあわせだなぁ」と感じる。

とはいえ、素敵な暮らしぶりが載っている雑誌なんかでは「朝、コーヒーの香りで目覚め」とか、「コーヒーが発展したのは、メリタさんが朝、夫に美味しいコーヒーを淹れてあげたいと願ったことから」なんてことが書いてあるが、残念ながら我が家の朝にそんな余裕はなく、もっぱら夜のうちに淹れておいた水出しコーヒーかインスタントドリップだ。朝のひとときの余裕か…コーヒーから思わぬところにきてしまったが、今年は、朝の時間の使い方に少し心を配ってみようかな。

(2008年1月)