スタッフエッセイ 2007年9月

宮古島一人旅

前村よう子

 この夏、宮古島一人旅を決行した。とはいうものの、一人旅自体は、私にとってはいつものことだ。札幌、旭川、函館、東京、名古屋、徳島、尾道、長崎は私にとってほぼ常連の旅行先で、一人で楽しめる場所も定番の店もある。そんな私が、なかなか行けなかった場所の一つに沖縄があった。なぜだか確固とした理由もないのだが、いつも沖縄一人旅の立案計画はするものの、実行できずにいた。

 今春、格安航空券が手に入ったのをきっかけに、那覇を一人で旅してきた。案ずるより産むが易し。運転免許はあれどペーパードライバーの私でも、モノレールとバスで有意義な時を過ごすことができた。食べ物もどれもこれも美味しくて、身体に合う。これに気をよくして、春から沖縄離島一人旅を計画してきた。

 まずは行き先探し。蛇が苦手な私は、ハブの居ない島を探すことから始めた。そうして行き当たったのが宮古島だった。ネットで見つけたご飯の美味しい民宿(予約の取れない宿で有名らしい)を先に仮押さえし、その後、貯め込んだ航空マイルを活用し、無料航空券に引換え、無事、準備が整った。準備が整ってからは、修学旅行を待つ生徒の気分で、「あと一ヶ月、この仕事さえ終われば・・・」「あと一週間、原稿を仕上げて・・・」と仕事を一つ仕上げる度に、心は宮古島へ飛んでいた。

 そうして出かけた宮古島は、想像を遙かに超える島だった。タクシーで2時間も走れば、島中を駆け足で廻れるような小さな島なのだが、場所によって全く地形が異なり、様々な自然の有様を実感することができた。視界360度が全て海という経験が一番感動的だった。瀬戸内生まれの私にとって、海は身近な存在だが、その海にはいつも島が横たわっていたし、振り返れば山があった。でも宮古島の東平安名崎で見た360度の海には、水平線しかなかった。その他の場所の景色も、それぞれに趣き深く、ずっとここで海を見ていたいという気持ちに駆られた。

 元々、私はボーッとした子どもで、タンポポ畑で寝っ転がって2時間以上ただひたすら雲を見ていた事や、海辺の砂浜に座って2時間以上ただ波を見ていた事もある。ボーッとしているだけで、何を考えている訳でもないのだが、その時間が至福の時なのだ。大人になってからは、日々の仕事や諸々に追われ、なかなかこういう体験ができないでいるが、唯一覚えているのは、立山黒部アルペンルートの中間地点である室堂のみくりが池を見ているのが心地よくて、その場で2時間近くボーッとしていたこと。今回の宮古島一人旅は、そんな本来の私をゆっくり楽しめた旅でもあった。

 もう一度、今度は娘と一緒に宮古島でボーッと過ごすために、日々、頑張って仕事をしようと思う私である。

(2007年9月)