スタッフエッセイ 2007年8月

一人休日

長川歩美

 3年ほど前からスクールカウンセラーの仕事をしているが、生徒の夏休み期間は休みになるため、平日の水金が休みになる。この時期に、溜まっている仕事を片付けたり、ゆっくり時間をとって調べ物をしたり、夏の大掃除を試みたりしているのだが、たまに、ゆっくりと1人で遊びに出かけたりもする。

 水曜日の3000円コース?がいまのところとっておきの、贅沢な一人休日の過ごし方だ。午前中は友人や家族は興味がなさそうな、でも見逃したくない映画をみる。なぜ水曜日かというと、最近では水曜はレディースデーで、女性は1000円で観られる映画館が多いのだ。ミニシアター系はレディースデーが設けられていないことも多いが、朝一番や夜遅くだと割引があるのでそれを利用する。我ながらしっかり関西人だなぁと思いつつ。

 映画が終ったら次はランチ。何年か前に「ランチの女王」というテレビドラマがあったが、あの主人公同様、ランチという設定には特別な魅力を感じる。ランチにはその店の意気込みや、客への思いやりや、シェフのセンスが凝縮されて表れる気がする。夜に展開されるアラカルトメニューや豪華なディナーコースと違った魅力があって、まるでシェフこだわりの「お任せコース」をいただいているような気分になる。有名なチェーンのお店というよりは、こじんまりした小さなレストランの当たりランチには、本当に感動させられることがある。

 ランチの店の決定は、「美味しいランチ」というHPを検索して、星の数の評価を当てにして行ったり、雑誌で調べたり、ぷらっと店構えで入ってみたり・・気に入った店を見つけると、もう何度でも通いたい(笑)。予算はこれまた1000円で。

 午後からは、美術館へ。現代美術や建築を目当てに行くことが多いが、最近では古い神像・仏像や壷なんかにも興味がでてきた。私の場合、月日を重ねても美術品の知識がなかなか積みあがらないのが少し残念なのだが、その日に展示されている作品と出会って、刺激を受けたり共感したりするのはなんとも貴重な体験になる。最後にミュージアムショップをのぞいて気に入った絵葉書を選ぶのもとても楽しみにしている。以上、映画ーランチー美術館と楽しんで、大体3000円以内におさまる。

 単純に映画や美術鑑賞、食べることが好きということもあるが、私にとって水曜コースの醍醐味は作品や料理を通して、それらを創った人たちの本気に触れられるということだ。真剣に何かを伝えようとしている人、信念のある人の仕事は違う。傲慢でなく柔軟だ。自分が共感したり感銘を受けたりする作品や料理の中に、自分が理想としている生き方、仕事の仕方、人との関わり方を感じ取ったり、刺激を受ける作品や料理の中に、今までの自分にはなかった新しい発想や着眼点を発見したりさせてもらっているような気がする。

 バーゲンの戦利品を、嬉しげに友人と自慢しあったりする典型的な関西人気質の私だが、最近、いい仕事にはそれなりの対価を払わねば、と思うようになってきた。映画のサービスデーはさておき、日頃恩恵を受けているいい仕事をされているレストランには、お得なランチばかりではなく、たまには夜も食べに行ってみようかな。

(2007年8月)