スタッフエッセイ 2007年6月

ストレスとつきあう

村本邦子

 「なぁ、久しぶりに動作法やって〜や・・・」ストレスでしんどくて吐きそうと訴えている娘。この子は友達に恵まれ、自分のことで悩むことはないんだけど、特定の誰かを嫌って排除するようなことができないために、激しく対立する友人やグループの間に立たされ、振り回されるハメになることがある。

 「自分で背負いきれないほど、人の荷物しょったらアカンで。そんなことしても、誰のためにもならんからな。相手のためにもならんし、自分のためにもならん。荷物が自分でしょえる重さを超えたら、きっぱり線引かな〜」「うん・・・自分でもわかってるんやけどな。今日、ちゃんと話して帰ってこようと思ったけど、限界やった。明日はちゃんと話すわ」

 自分がどこまで人の荷物を背負えるか、背負えないものはきっぱりと線引いて引き受けないというのは、本当のところ、とても難しい。まず第1に、自分のキャパを十分に知っていなければならない。そして、はっきりとノーを言わなければならない。荷物の持ち主が自分に近しい人であればあるほど、これは難しい。私自身、娘くらいの頃は、うまくバランスを取れずに悩んだものだ。私の場合は、友人ではなく、家族の荷物だったけど。

 ベーシックに肩上げからやり始めるが、体がピクピクひきつっているのがわかる。娘の肩は、本来、ものすご〜く柔らかく上がるのだ。片方ずつゆっくりと、手を当てながら何度かしているうちに、少しずつ、ピクピクがなくなり、スムーズに上がるようになる。もう片方、そして両肩。何度も繰り返して、片開きまでやると、ずいぶん楽になったと言う。それは、援助しているこちらにもよくわかる。

 友人関係のごちゃごちゃを親に詳細に語れないこの年齢の子に、詳しい話を聞かず(聞かなくても、概要は推測できるのだけど・・・)、体のことだけで何かしてやれるツールがあるのはとっても良い。「動作法」なんて言葉、よく覚えていたもんだ。たしか、受験のストレスの頃、何度かやってやったんだと思う。

 しばらくすると、「せっかく少しリラックスしたのに、頭が考えてしまうから、また、体が緊張してきた・・・」と言う。「じゃあ、次は、タッピングタッチで行くか」。こちらは、前に一度やった時、息子とともに、「なんか怪しい」とあまり喜ばれなかったんだけど、今回は、「やっぱ、いいな〜」と受け入れられた。その後は、すぐ寝付けたようだ。

 人との関係で、ストレスは避けられない。ストレスに自覚的であること、早めに手当すること、誰かにSOSを発信すること、自分の体を労ること・・・いろんなことが今後の人生のための勉強だ。ふだんは、ほとんどもう不要となりつつある親役割だけど、あと少しだけ、残っているものがありそうだ。

(2007年6月)