スタッフエッセイ 2007年5月

温楽

桑田道子

昨冬から、月に1回、温泉デーをつくって、友人と露天風呂でリフレッシュする楽しみを続けている。村本先生の温泉好き(「ドコドコ県のナニナニのお湯が…で、肌にいい」「ナニナニ温泉の泉質はアルカリ性の…」など、その詳しさ&実体験済みの様子は、温泉学者もまっさお、かも)に影響を受け、「温泉もいいなぁ」と思いながらも、旅先の温泉はいいけど、普段わざわざ行くには贅沢な気がして、日常に組み込むには至らなかった。が、産まれも育ちも大阪の私が結婚して、引越してきたところは、かなりの田舎で、実は温泉もあちこち近くにある。こちらに引っ越して4年になるが、これは、土地の利を活かさなくては、と、意識的に温泉デーをつくることにした。これが、予想以上に、豊かなひとときとなっていて、「からだ」と「こころ」とはこんなにもつながっているんだなぁと感じている。

露天は露天でも、眺めや、造り(肌にあたる石)によって、自分の居心地いいと感じるものが違うことも段々とわかってきて、お気に入りのところもみつけた。その露天風呂は、山の木々に囲まれたなか、大きな岩が積み上げられ、右には竹林、向かいには小さいけれども滝が見える。ゴツゴツした岩肌の感触も心地よく、裸の身体が自然に包まれているような気持ちになる。鳥のさえずりを聞きながら、一人でくたーっと入るのもいいし、お湯の温度がぬるめなので、友人と話しながら入っていると、あっという間に、1時間、2時間と過ぎ、いつまでも入っていられるような気になってくる。ときには、見知らぬ他の入浴客とのおしゃべりに花が咲いたり。夕方になると木々がライトアップされ、湯気と光とでより幻想的な、風流な入浴が楽しめる。

実際に、温泉で心身の疲れがとれ、その晩はゆっくり寝られるなど、直接的な効果もあるが、「この日は、ゆっくりしていい日」と決めることが、日頃、なんだかんだ言いつつ、突っ走ってる自分の歩を少し緩めて、労わることができるんだなぁと発見だった。自分の楽しみをみつけて、実行することは得意なつもりだったが、フルタイム勤務でない私は、休日をつくることにどこかしら罪悪感を感じていて、仕事で誰か(やなにか)に拘束されていない時間は、次の仕事のための準備時間のような、仕事とプライベートの境目を上手につくれていなかったところがあるのかもしれない。

そう、ふと思い出した。大阪に詳しい方ならご存知かもしれないが、天王寺近辺にある「世界の大温泉」は、なにを隠そう、私の学生時代のバイト先だった。なにを思って、バイト先に選んだのかは、よく覚えていないが、行楽地でのバイトは楽しい、無料で入場できるのはラッキーとかそんな感じで、決めたような気がする。「自分は働いているのに、まわりは、みんな遊びに来ている人ってのはどうなの?」と聞かれたこともあったが、そんなことは全く感じないで、楽しく働いていたし、お店の裏側を知れて、なにか得したような気になったものだった。

ワンフロアに、いくつもの変わり風呂やサウナがあるのが、このお店のウリだが、そのうちのひとつ、「塩サウナ」はいつも大人気だった。サウナ部屋の中央に、塩を置く大きな瓶のようなものがあって、入浴場の見回り担当のときには、体調が悪そうな人がいないか、湯温が適切かチェックをするのが仕事だが、塩サウナの塩が切れないように補充することも重要な仕事。粒子の粗いザラザラの塩を、身体にすり込むことで、塩の成分が汗腺から浸透して、新陳代謝を促し、発汗作用を良くする。流行のデトックス効果ももちろんあって、体内に滞っている毒素や老廃物を排泄して、胃腸の働きを活発にすることもできるのが、塩サウナである。塩を流した後は、肌がしっとりツルツルになって、効果がとてもわかりやすいので、私も気に入っていた。自宅のお風呂をサウナ状態にするのは難しいけれども、入浴時に塩マッサージをすることは可能なので、オススメです(肌が荒れる方もいらっしゃるので、敏感肌の方は危険ですが…)。

ちょっと贅沢に、外のお風呂へ行くも良し、自宅でアロマバスを楽しんだり、塩マッサージをしてみたりするも良し。お風呂は絶対入るものだし、次は、自宅でのシャワー・お風呂の時間を充実させることを考えてみようかな。カラスの行水なんかで済ますのではなくて、そういう時間を大切につかうことが、生活の潤いになっていくのかもしれない。そういえば、先日、アロマのデトックスオイルを購入したんだ、私。一回試して、スッキリ気持ちよかったのに、オイルの扱いに慣れずに、それっきりに…まずは、オイルマッサージから始めよう。元気な夏を迎えられるように!

(2007年5月)