スタッフエッセイ 2006年12月

アドヴェント

桑田道子

そろそろクリスマスシーズン。
寒空のなか、いつも急ぎ足で歩いている道で、光に誘われ、ふと足をとめ、見上げる。オレンジ色のLEDと乳白色の白熱電球で飾られた街路樹や、青と白の光をたたえる大人な雰囲気のイルミネーション。きらきらとライトアップされたビルや木々、5mを越す大きなツリーが飾られているのを目にする。

クリスチャン家庭に育った私は、クリスマスがとても楽しみだった。教会では、12月の第1日曜から、待降節(アドヴェント)と呼ばれる期間に入る。クリスマス前の4つの日曜日の期間、ろうそくを4本たて、日曜日ごとに1本ずつ火を灯して、イエスキリストの誕生を待ち受ける。1本ずつ、ろうそくの炎が増えていくのを見て、なにかワクワクする期待感と、じんわり広がるあたたかな気持ちを感じたものだった。

子どもの頃、サンタさんが来ると信じていた。毎年、一番欲しいものが25日の朝、枕元に置いてある。そして、2番目に欲しいと思っていた物が、両親からのプレゼントで別にあったので、すっかりサンタさんはいるものだと信じていた。うちはマンションで煙突がないからと、イブの日は窓を開けて寝ていたし、ある年には、サンタさんへお礼がしたくて、母親に、魔法瓶にコーヒーを入れてもらい、お菓子と一緒に枕元に置いて寝た。翌朝、コーヒーが減り、お菓子の空き袋が残っているのを見て、「サンタさんが食べてくれた!」と。親サンタは徹底していた。

小学校5年生の頃、「サンタさんっているんやろか?」と母親に聞くと、「いると思うといるし、いないと思うといないんじゃない」と言われ、「いることにしよう」と思ったけれど、その次の年からは来なくなったような気がする。

年月は過ぎ、今、我が家では、毎年12月には玄関にヒイラギのリースを飾る。多くの木々が紅葉し、葉を落としていく冬に、常緑樹のヒイラギは、鮮やかな緑でいきいきしている。リースは、11月から約1ヶ月、葛のつるを乾燥させて直径50cm強の輪にし、ヒイラギをからませ、小さなまつぼっくりや赤い実(サルトリイバラ)を差していき、最後に赤と金のベルベット地のリボンを結ぶ。実は、これは毎年恒例の夫の手作りである。初めて、このリースを腕にかけて、仕事から帰ってきた夫を見たときには、本当にビックリしたし、とても嬉しかった。喜ばせようと1ヶ月前から内緒で、準備していてくれた気持ちが嬉しかった。

ヒイラギは、キリストが十字架に架けられた時に、被らされた冠に使われた葉である。クリスマスには、キリストの受難をおぼえ、ヒイラギを使う。普段、すっかり自己中心に生きている私だけれど、さわるとチクッとするヒイラギの葉に、なにか、私の心に巣食う汚い部分、痛いところを思い出す。こんなトゲトゲを被らされたら…。

欧米ではクリスマスの飾りつけやリースは、1月6日(東方の三博士の礼拝日)頃に外すらしいが、12月26日には外してしまう。なんだかもったいないなぁと思いながらも、よく見ると、ヒイラギのひとつひとつの葉の端が、少し茶色く枯れていたりもするので、焚き火をして、燃やす。

今年も、我が家の玄関には、出来たばかりのリースが飾られ、私達夫婦とお客さまを迎えてくれている。

(2006年12月)