スタッフエッセイ 2006年11月

伝わる思い

森葺a代

「や〜、よかったね〜!!!」「やったね!!」「当たったね!!!」「すごいやん!!」

 これは、ある日の生協共同購入時のひとこま。職員さんが「今回、森浮ウんが当たってはりまして・・・」と言った途端の、ご近所の生協仲間4人の言葉だ。当たったのは「お楽しみボックス」。決して、宝くじが当たったわけではない(笑)。

 みんながこんなに喜んでくれたのは、私があまりにも、くじやら懸賞に当たらないからだ。奈良の生協では、ここ数年、1年に何度か「わくわく3」という企画があって、好きな数字を3つ書いて出すと、そのうちの3つ当たれば○○、2つ当たれば○○という風に、商品券や商品がもらえる。私以外の4人の購入仲間は、みんな1〜2度当たり、中には3度当たっている人もいる。「わくわく3」の他にも、ある商品を申し込んだ人に抽選でお米が当たったり、ジュースが当たったり、いろいろお楽しみなことがあり、みんなそれなりにいろいろ当たっているらしいのだ。なにしろ私一人が、一度も何にも当たったことがないのである。悲しいほどに当たらない。ある時、「学校の役員なんかのクジはよう当たるんやけどな〜。そういえば、この夏は2度も雷に当たったしね〜」とセンスの無い冗談を言って「・・・」「・・・」「・・・」「・・・」と、なんだかちょっとビミョーな空気が流れたこともある(笑)。

 そんなこんなで、私自身も、『私は、くじ運も無く、当たらないことになっているんだ』と思い込んでいた。それが今回、なぜだかわからないが何かに当たったらしい。しかし、私がうれしかったのは、当たって賞品をもらったことではない。みんなが自分のこと以上に喜んでくれたことだ。「や〜、何が入ってるんやろ?」「ケチャップとか、お菓子や・・・ジュースも入ってるよ。今までで、一番良いで〜〜!」「わぁ、いいな〜」って、箱に書いてある中身を読み上げてくれる。みんな、私が何にも当たらないことを気にかけていてくれたんだろう。みんなの思いが伝わった。

 「あの人、どうしてるかな?会いたいな・・・」と思っていると電話が来る。「会おう、会おう!」と会う約束がまとまる。久しぶりに、実家の母に電話をすると「私も今かけようと思っててん!」と言う。お互いの気遣いが見える。「最近、見かけないな・・」と思っていると、ばったりその人に出くわす。元気でよかったと思う。日常、不思議と時々こんなことが起こる。聞こえない思い、見えない思いもちゃんと伝わるものなんだと思う瞬間だ。

 推薦入試のこの時期、「友達にお守り渡すねん」と、いくつもお守りを用意している娘をみて思う。「今日、○○のテストやねん」という子どもたち、「検査入院やねん・・・」という友人や「胃カメラ飲むんや・・・」いう夫「赤ちゃんが生まれる」「旅行に行く」などなど。今まで、どれだけの人の合格や健康や幸せや無事を祈ってきたのだろう。そして、私自身もどれだけの人たちに祈ってもらったのだろう。

 その人のために祈ったから、願ったからといって、必ずしもその願いが叶うとはいえない。しかし、「思いは伝わる」と私は思っている。人の思いは、何か暖かいものとなってその人のもとへ飛んで行き、ふとしたとき、その人の力になるかもしれない。支えになるかもしれない。いろんな人のことを思いながら、いとおしい思いをそっと届けたいと思う。


 
(2006年11月)