スタッフエッセイ 2006年6月

五感を楽しむ

西 順子

 7-8年前になるだろうか。トラウマからの回復や癒しについて学ぶなかで、心地いい、肯定的な感覚を体験することは、不安を和らげ、自分を癒しや慰めるために、有効であると知った。トラウマの反応の1つに、「回避」「麻痺」があるが、この反応は不安や恐怖を減らす代わりに、慰めや楽しみを奪ってしまう。だからこそ、回復と癒しのために、積極的に肯定的経験を自分に与えてあげることが大事、ということだった。

 その当時はスタッフと共にアートセラピーを通して体験したが、それから私自身も生活のなかで肯定的な感覚の経験を大事にしようと思うようになった。最近は、ますます五感を味わう楽しさにはまっている。五感を感じるときは、自分がありのまま自然体であり、心と体の一体感を感じられる、心地いい幸せなひと時である。
 最近の私の五感の体験を振り返ってみよう。

味覚・・私は食べることが大好き。好き嫌いはなく、何でも食べる。変わった食材、味も、一度は試してみたいと思うほう。一日三回の食事とおやつの時間と、毎回、食べる時間を楽しみにしていると言っても過言ではない。朝食は、コーヒーとパン、ヨーグルトが好き。ヨーグルトはアロエとマンゴーが今のお気に入り。パンには、ブルーベリー、いちご、ラ・フランス、アップルシナモン・・など、香りのいいフルーティなジャムが好き。ちょっと贅沢したい時はベーグルパン。もちもちとした食感が好き。昼食は、研究所にお弁当を持参。子どものお弁当の残りや生協のおかずに、納豆、もずく、味噌汁(orスープ)が定番。夕食は、魚、野菜、豆製品、海草類・・など、和食系が好き。でも、子ども達は肉系、夫は中華系を好むので、和洋中折衷が多い。毎回、「ああ、おいしかった〜」と満足するのは、至福のひと時。外食のお気に入りは、ランチタイムのイタリアン。新鮮な魚貝系、トマトソース系パスタが好き。前菜やサラダ、デザートもついていればなお嬉しい。手ごろでおいしいイタリアンのお店を見つけると、嬉しくなる。同僚や家族と一緒に、おいしいものを一緒に食べるのも楽しいひと時だ。

聴覚・・気分をリラックスさせたり、やる気を出させたり、気分を一新するときに、音楽は欠かせない。朝起きた時の目覚めの音楽、眠る前の音楽と、一日は音楽にはじまり、音楽に終わる。クラシック(誰もが知っているような曲しか聴かないが)、ヒーリングミュージックから、今流行のポップス系、ヒップホップ系と、その時の気分や目的にあわせて、聞きたいものをチョイス。例えば、眠る前にはリラックス系、今から掃除するぞという時にはテンションが高くなって体が動く曲を選ぶ。音楽は、友人や夫、子どもなどいろんな人の影響も受けて、聴くジャンルが拡がってきた。子どもの部屋からはアイドル系の音楽が聞こえる。たまには、アイドル系も、若い気分になっていいもんだ。ただ問題は、時々夫と、音楽vsテレビになること。それぞれ、リラックスのための感覚の使い方が違うのだろう。その時の優先順位で譲り合っているが(辛抱しあって)、どちらもほどほどになって・・ちょうどいいのかも。

嗅覚・・もともと鼻はいいほうだと自負していた。夕食時には、近所からおいしい匂いがしてくるが、晩御飯のおかずを当てるのは得意。去年から、アロマセラピーを勉強し始めたので、今はもっぱらアロマを楽しんでいる。研究所にあるカウンセリングの部屋では、ローズウッドがお気に入り。ローズウッドは、ウッデイな香りとバラの華やかな香りと両方が楽しめていい。自宅では、眠る前のラベンダーが定番。ラベンダーの香りを1、2分でも嗅ぐと、もうコテンと寝入ってしまうほどである。嗅覚は脳に直接働きかける唯一の感覚ということで、1分間、ラベンダーの香りを嗅ぐだけで、身体に変化が起こるという(心拍数が10も減るのだとか)。すごいリラックス効果だと、自分の眠入りの早さからも実感。
 他のアロマオイルは、効能に応じて、マッサージオイル、手作りクリームを作って、お試し中だが、アロマオイルの調合具合によってこれまでの経験にない様々な香りが楽しめる。私はすっきりさわやか系が好み。アロマオイルは植物性だが、自然界にこれだけの香りがあるなんて、自然の力は凄い。夜は、香りに包まれてリラックスモード。

体感覚・・触覚含めて体感覚について。体感覚で今一番気持ちいいのは、ストレッチ。体の筋肉を伸ばすと、うーん、気持ちいい。エアロビを続けているが(もうすぐ一年だ! 一年も続いたなんて自分でも驚き)、エアロビのなかにはストレッチ的な動きが含まれている。あちこち筋肉伸ばして、「今日も一日お疲れさん」と自分をいたわる感じ。次に好きなのは、跳躍。エアロビのなかで、飛び跳ねると体が喜ぶ感じ。子どもに戻ったような無邪気な気持ちになれる。次に、最近はセルフ・アロママッサージがお気に入り。特に足のマッサージが気持ちいい。これは触覚の気持ちよさだけでなく、香りとの相乗効果で心地よさが増す。これも、体に「お疲れさん」のいたわりの感覚。

視覚・・これはうーむ、何かな。緑を見るのは、一番好き。都会暮らしではあるが、近くには川が流れているので、その周りの木々と共に結構自然を身近に感じている。大阪に住み始めた当初は、山に囲まれていないということで不安だったが(生まれ育った故郷は、盆地。山に囲まれていたので、都会に出てみて、山が見えないことには違和感があり、不安に感じたものだった。山に囲まれていることで、「守られている」感覚があったことがわかった)、今は平野暮らしにも慣れた。時には郊外に足を伸ばして、自然を満喫し、自然のエネルギーをたっぷり吸収したいけれど、日々の暮らしでは難しい。今は、インテリアのグリーン、公園の木々や花々、住宅周りの木々を見ることで、ちょっとした安らぎを感じている。

 私の日頃の五感の経験を振り返ってみて、「視覚」の肯定的経験が一番とぼしいかなと気づいた。他の四つは積極的に取り入れているが、視覚は意識的には取り入れていないかなと。あっ、でも「色」は好き。きれいな「色」を見るのは心地いい。緑色はもちろん、柔らかくて、あたたかい色も好き。イラストレーター伊藤尚美さんの色の感覚、雰囲気が好きで、サイトは「お気に入り」に入れて、時々チェックしている。

皆さんは、どんな感覚が好きですか? 
肯定的な感覚を大事することは、ストレスへのケアだけでなく、体のなかから、「いきいき感」を生み出してくれる。「いきいき」としたエネルギーを蓄えて、さあ明日も一日、自分らしく、頑張ろう。

(2006年6月)