スタッフエッセイ 2006年3月

人との出会い

安田裕子

 中学時代にお世話になった先生に、最近、町中でばったり出くわした。横断歩道を渡ろうと、赤信号が青に変わるのを何気なく待っている時、「お〜っ!」という声がする方を反射的に振り向くと、そこには懐かしいあの先生の姿が。見開くような大きな目がトレンドマークの、エネルギッシュでパワフルな先生。わー、久しぶり〜!それにしても、あれから十数年。そんなに月日が経っているなんて信じられないぐらい、先生はその当時と変わらない元気な様子。久々の再会、嬉しかった。
 昔から、引っ張りだこ状態でとにかく多忙な先生だった。現在の、その輪をかけての多忙ぶりは、時折聞こえてくる噂からも想像できた。その時も、あまりゆっくり話をする時間はなかったのだが、近況報告程度の話をするなかで、先生がその近辺を活動拠点のひとつとしているとのことがわかった。へー、そうなんだ。私もその辺りを活動拠点のひとつにしていたので、ちょっとびっくり。「またばったり会いそうですね〜」などと言ってその時は慌ただしくわかれたが、案の定、最近またばったり会った。偶然出会っては、2,3言葉を交わすだけで「ではまた!」とわかれるような感じなのだが、とにかくその短い時間でも、先生らしい元気な様子が感じられるのは、なんだか嬉しいものである。少し前に、風の便りで、先生がバンドを組んでいるらしいという話を聞いていたのだが、今度、桜の花が咲く頃に、ライヴを開催するとのことである。さすが先生、やるな〜。そういえば、随分昔の話だが、高校合格(ホントに昔…)で、先生を含めてその時の仲間みんなでお祝いパーティーをした時、先生がギターの弾き語りを披露してくれた。その時は、なんだか嬉しいような気恥ずかしいような感じではあったが、先生が一生懸命歌ってくれた「乾杯」は、長渕剛を超えていたよな〜!と、多少贔屓目(笑)にではあるが、懐かしいく思い出す。
 当時、行動を共にした仲間は、現在、それぞれの場所でそれぞれの生活をしている。その時の仲間と一緒に先生のライヴを聴きに行きたいなと思いつつ、それぞれに忙しく生活しているので、それもなかなか難しそうである。その時の仲間のひとりに、今は東京で生活している幼なじみがいるのだが、彼女はもうすぐお母さんになるとのこと。到底一緒に行くことは叶わないが、せめて、先生たちのライヴの模様を報告したいな、なんて思いつつ。うーん、なんだか楽しみ。
 それにしても、もうすぐまた桜が咲く時期がやってくるんだな、としみじみ思う。昨年のこの頃、なんだかドタバタと色んなことがあって、気持ちが落ち着かなかったことを思い出す。あれから一年、本当に当たり前なのだけど、時間だけはしっかり流れていたんだなと、なんだか感慨深い。時間の流れって、本当に癒しになる。時間が解決してくれるということ、ホントだなと思う。人間生きていれば、大変なことやしんどいことが時に降りかかってくるけれど、長い目でみると、人生、しんどいだけでは決してない。嬉しいこと、楽しいこと、色んなことがたくさんある。あるいは、大変なことがあるからこそ、良いことがあった時の嬉しさもひとしおなのかもしれない。ただ、やっぱり思うのは、自分で、自分の気持ちを前にもっていこうとしなければ、結局、その楽しいことや嬉しいことを、キャッチできないままでいてしまう可能性があるということ。変化を変化として認識し、それを何らかの機会として生かしていくのは、自分でしかない。私の場合、気持ちが落ち込んだりすると、必ずと言っていいほど自分の固執した考え方にがんじがらめになってしまうように思う。おそらくそうした調子の良くない時は、誰しも、自分の思考パターンから抜け出ることができにくくなっているんだろうな。そんな時には、やっぱり、人からパワーをもらうのが一番!他者の多様な考え方、行動、言葉かけ、そういったものがどんなに力になっているか。狭くなってしまっている自分の視界を、パーッと開けさせてくれる。素直になって、人の話に耳を傾け、前向きに。そしたら何とかなるもんだな。最近、改めてそう感じる。そして、そんな風に思わせてくれる人々の存在って、とっても大切だなとも。色んな人との出会いから、大きな力をもらっている自分がいる。春の足音が聞こえてきつつある今日この頃、ほんわかと幸せな気分になっている。

(2006年3月)