スタッフエッセイ 2006年2月

優しさのリレー

おだゆうこ

カウンセリングの仕事をしていると「こういう仕事は大変ですよね。しんどくないですか?」「自分がしんどくならないの?」と聞かれることがある。
「結構こちらが気付かされたり、元気をもらったりするんですよ」と答えている。

この仕事を始めて、私自身随分と生きやすくなった面がある。まずは、人の力を見つけて素直に誉めることができるようになったことで、自分自身も沢山ほめてあげられるようになったこと。ささやかなことを喜び、感動や発見が増えたこと・・・特に、人のよいところも、自分のいいところもパッと出てくるようになった自分は結構気に入っている。いい所や持っている力をみつけて、誉めてもらうとプラスのエネルギーがパーッとみなぎって行く感じがする。人にはイキイキと生きる力が備わっているんだなと実感する時だ。

幼い頃、実家の庭に花が咲くと、朝一番に拍手しながら「わー奇麗に咲いたね〜」と父や母と声をかけていた。そのせいか、我が家に咲く紫陽花や百日紅や梅の花は、どこの花屋さんのお花より深く鮮やかな美しい色をしていたように思う(やはり身贔屓だろうか?!)。拍手を浴びているその時に、ピンと背筋を伸ばすかのようにイキイキとしていく植物の姿のイメージとダブってくる。

しかし、時にはとても深刻なケースを抱えて、クライエントさんと共にしんどくなってしまう時もある。それはある意味で必要なことだと私は思っているが、自分の心身の調子や深刻なケース状況が重なると、自己嫌悪やらでとっぷりと落ち込んでしまう時もある。そんな時に、上記のような質問をされると、なぜこの仕事をつづけていられるのかハタと立ち止まって考えてみたりする。もちろん答えは簡単。自分がしんどきには、周りからささやかな優しさをもらっているのだ。それは、一日の面接の終わりに飴玉をもらったり、お疲れ様のメモをもらったり、事前に暖房をつけてくれていたり、最後の人が片付けるべき看板をなおしておいてくれたり、帰り際に観葉植物の新芽を発見したり...ごく自然にさりげなく気づかってくれている人たちに支えられていることを感じられた時だ。自分はエネルギーを放出しているばかりでなく、いろんな人に補給してもらっていることに気付けた時、しんどさの渦から脱出できる気がしている。

自分と相手の2者関係だけでなく、優しさのリレーの中に自分がいて、その循環を感じられる時に、ほんのりあたたかい気持ちとまた頑張っていこうという気持ちが沸き出てくるように思う。
この関係のしんどさに縛られず、この関係でのお返しに留まらず、もらった優しさを糧に次に出会う人に返し、返されていく循環を思い描く時、なんとやっていけるかなぁと思う。

これからも、時にしおれることもあるけれど、拍手やお水をくれる人たちに感謝しながら、もらった優しさを持って新たな人たちと出会っていきたいと思う。

(2006年2月)