スタッフエッセイ 2006年1月

ジャングルジム

原田光恵

ある日。

運動場のジャングルジムに登った。初めはスイスイ登っていたのだけど、だんだん自分が高くなると足が震えてきた。てっぺんに近づくと、怖くて怖くて真下が見られない。それに自分の手はガッシリ棒を捕まえたまま、上の棒に移ろうとしない。

「高所恐怖症だから・・だけの理由で、こんなに震えるかい?」。自分に突っ込みを入れる余裕はまだあったけど、でも、足と手は動いてくれない。

「ほら、上まで登りや」「あとひとつやん」「そこに足をかけたらいいやん」。小学1年の子どもたちが、後からひょいひょいと登ってアッという間にてっぺんへ。そして早く早く、って急かす。「そう言われても・・怖くて足が上がれへんねん・・(子どものころ、もうちょっと身軽に登れたような気がするんだけど・・)」
情けない声で、張りのない笑いを子どもたちに返すしかなく。

そんな私に「一度降りてきて。それでな、こっちから登ったらいいねん。怖くないで」。
ジャングルジムの真ん中に入って、上に登るようアドバイスをしてくれる。

えっ?なんで場所を変えるだけで怖くなくなるのん?
頭の中は???だらけ。

そんな私に、早く早く、と子どもが手招きする。そうかぁ?と疑いの気持ちはいっぱいなんだけど、言わないままジャングルジムの真ん中に入り込んで(この入り込むのも、子どもの機敏さがない私。ヨイショヨイショと声に出し、大きな体でのそりのそりと動きながら)登ってみる。

あれっ、怖くない!
うわっ、怖くない!!
それであっという間にてっぺんに。

「すごーい!登れたよ」「な、言ったとおりやろ」「うん、うれしいわぁ」
笑いあいながら、てっぺんで子どもたちと話す。向こうに見える山が、とってもきれいだった。

四方を囲まれていたからかな・・、冷静に今考えると、きっと何か理由があるんだろうな・・と、おとなの頭になる。
でも、そのときはそんなことどうでもよくて、怖くないと思える自分に驚いて、登れた自分にすごく感激した。

「できない、って思っていたことが、できたときの気持ち、やったーって思える気持ちが、自信をもつことなんだよ」。
これまで、子どもたちに、そう話しかけていた私。
そうだよなぁ・・。改めて感じることができた、寒い冬の午後。

(2006年1月)