スタッフエッセイ 2005年12月

姉と妹。どっちが幸せ?

下地久美子

 先日、「イン・ハー・シューズ」という映画を観た。おしゃれと恋に縁のない弁護士の姉ローズと、美人でモテるが学習障害があり仕事が続かない妹マギーの物語。妹が次々と持ち込むトラブルにうんざりしながらも手助けしていた姉だが、自分の恋人と妹が浮気しているのを見つけて、ついにキレてしまう。その後、離れて暮らすことになった二人。姉は傷心のあまり休職してしまうが、妹は祖母の住む老人ホームで仕事をはじめる。やがて、姉は同僚の弁護士にプロポーズされ、その結婚式で、妹が姉に詩を朗読するシーンには泣けてしまった。「イン・ハー・シューズ」という言葉には、それぞれの生き方という意味が込められているのだろう。
 
 ローズとマギーほどでもないが、私もぜんぜん似ていない2歳下の妹がいる。まず顔が違う。私がソース顔だとすると、妹はしょうゆ顔。いまだかつて「似ている」と言われたことがない。性格も正反対。子どもの頃は、私はどこにいるかわからないようなおとなしい子どもだったが、妹はおしゃべりで「一言多い」と、いつも母に口をふさがれていた。妹は、人を笑わせるのが大好きで、モノマネが得意で、お茶目なムードメーカーだった。
 
 年が近いせいもあって、一緒に遊ぶことが多かった私たちのお気に入りの遊びは、「ゆみこちゃんごっこ」というものだった。「ゆみこちゃん」というのは、妹の名前で、遊びの中では私がゆみこちゃん役になり、妹は「さっちゃん」という女の子になっていた。今、思い出すと変な遊びだが、おそらく私の中に、妹になりたい願望があったのだろう。2段ベッドをアパートに見立て、お人形を赤っちゃんにして、ママゴトみたいなことをよくしていた。
 
 学生時代は、それぞれの生活が忙しくて、一緒に遊んだ記憶がないが、会社が近かったので、OL時代は、会社の帰りに二人でよく出かけた。ショッピングをしたり、コンサートに出かけたり、時にはお互いの彼氏を交えて、食事会をしたりした。「前の彼と名前を間違ったらあかんな」と言って笑いあったものだ。姉妹でよかったと思うのは、とにかく会話でも何でも気を遣わなくていいところだ。相手に良く思われようというのがないので、お互いの欠点でも何でもズバズバ指摘できるのがいい。「めちゃ傷つくやん」と言いながらも、同じ家に住んでいるので、いつまでも根に持つこともないし、関係が切れるものでもない。

 昔から、妹は「ラクに生きる」をモットーにしていた。高望みをするわけでもなく、手の届く範囲ですべてを済まそうという。いわば、とても肩の力の抜けた生き方をしている。チャッカリしているというか、要領がいいというか。勉強は大嫌いだったが、唯一得意だった英語を活かして、近所の子どもに教えたり、簡単な通訳のボランティアをしたり。どっちにしても、あんまり欲がない。昼間、家で昼寝しているのが一番いいと言っている。「あれも欲しい。これも欲しい」という欲張りな私には、本当にうらやましい限りだ。

 妹の家族は、3年前に横浜へ転勤になり、最近はあまり会う機会がないが、幼い頃のユーモアセンスは健在で、ときどき爆笑メールを送ってきてくれる。お誕生日にお祝いのメッセージが贈られてくると、姉妹っていいもんだなと、しみじみ思う。年末には大阪の実家に戻ってくる予定なので、今年のお正月もにぎやかになりそう。今から楽しみだ。

(2005年12月)