スタッフエッセイ 2005年6月

子どもの気持ち

森崎和代

 「面倒くさいねん」ある女の子が話に来てくれたときの最初の一言だ。彼女は幼稚園の年長さん。「ふ〜ん、面倒くさいのん」とわたし。「うん、ウサギ小屋の掃除面倒くさいねん」「そっか、ウサギ小屋の掃除、面倒くさいんや」「うん、もうすぐ当番が回ってくる、と思うだけで、面倒くさくなるねん」「そうなんや」「○○くんはいっつもちゃんとせぇへんねんで(怒)!」「ふ〜ん、そう」「わたしはいっつもちゃんとしてるねんで!」「☆☆ちゃんはいつもちゃんとしてるんや」「うん!」「でも本当は面倒くさいんやね(笑)」「そう(笑)」「面倒くさい〜って言うたことある?」「ない」「言うてみようか?」「え〜」「一緒に言うてみようよ」「うん!」「せ〜の、面倒くさい〜!」「もう1回大きな声で!面倒くさい〜!」「どう?どんな気持ち?」「なんか、うれしい(笑)」「面倒くさいってナイショの気持ち教えてくれてありがとうね!」「うん(笑顔)」

 「あのな、お母さんに70点のテストも80点のテストも見せたいねんけど、どうしたらいい?」彼は小学校4年生。「100点のテストは見せられるけど、80点のは見せたらな、もっとこうせえへんかったから・・・って怒られる。けど・・・、全部見せたいねん」「△△くんは、100点でもそうでなかっても、怒られても、全部お母さんに見てもらいたいって思ってるねんな?」「うん」「80点のテスト見せたらどうなると思うの?」「お母さんな、好きなテレビあっても見やんと勉強教えてくれてるのに、悪いって思う」「お母さんに悪いって思うんや」「もうチョット気をつけたら100点取れるのに・・・お母さんも怒るけど・・・自分が悪いし・・・」「△△くんは、ちっとも悪くないよ。ね、お母さんに全部見てもらいたいねんっていう気持ち、言えたらいいね」「うん(笑顔)」(なんと言えるか2人で考える)「じゃ、チョット練習してみよう。私がお母さんと思って言ってみて」「・・・・・う〜ん、心がモシャモシャして最初が言われへん・・・」「じゃ、ちょっと書いてみる?」「うん!」(一生懸命書き出す)「出来た!(満面の笑み)」「書けたね!」(大事そうに折って、折って、その上に「これを教えてくれた人もりさきかずよさん」と書いてくれる)。「わたしは何も教えてないよ。自分で全部考えて書いたやん」「ううん、ありがとう!」彼は、部屋を出るまで何度も何度もお礼を言った。

 これらはほんの一例。子どもたちの心の中には「言いたい。でも、言えない」そんな気持ちがいっぱい詰まっている。その「言えない」「言ってはいけない」と思っている気持ちを言葉にして出した時の子どもたちの笑顔。どの子もみんな、「うれしい!」「気持ちいい!」「すっとした!」と、輝くばかりの笑顔を見せる。そんな笑顔に出会うたび、子どもたちの心の力を感じ、パワーをもらう。
 「王様の耳はロバの耳〜!」子どもたちと一緒に、そう叫べるおとなでいたいと思っている。

(2005年6月)