スタッフエッセイ 2005年5月

おばあちゃんのお漬物

原田光恵

夏の野菜が店頭に並びはじめたな・・、と思うこのごろ。その中で、きゅうりとなすびを見つけると、祖母が漬けるお漬物を思い出し、懐かしい味を思い出した。

祖母が漬けるお漬物が大好きだった。特に、旬のきゅうりとなすびのぬか漬けが大好物だった私。晩ご飯のしめくくりは必ずお漬物でお茶漬け、と決まっていたし、旬のきゅうりだと安価で買えたので、大量に漬けた漬物から1本おやつ代わりに食べる、ということもあった。それに、夏バテして食欲のないときでも、これが食卓にあるとちゃんとご飯を一膳食べていたよなぁ、とありがたかったことを思い出し。また、知人から「店を出せば売れるよ」といわれたこともあったらしく、祖母が笑いながら「店をはじめようかね」と話していたこともあったな、といろいろ懐かしく思い出す。

その祖母から10年ほど前に、ぬか床をもらったことがあったが「毎日かき混ぜるんだよ」というアドバイスも途中で続かなくなり、結局だめにしてしまった経験がある。あのときは、「忙しいから今は無理だな」と自分に言い訳をして「またもらえばいい」と思っていたのだが、もうもらえなくなった今、もうあの味に出会えないのか、と少し寂しい気持ちにもなる。あのぬか床を続けてかき混ぜていれば、おばあちゃんの味は続いたのかもしれない、もうちょっとまじめにぬか床をかきまぜておけばよかったなぁ。

祖母の味を思い出しながら、たまに漬物屋さんでぬか漬けを買ってみる。だけど、当たり前のことながらやっぱりあの味に出会うことはない。あの味を半ば美化しているかな、とも思うのだけど、やっぱり思い出もいっぱい詰まっているあの漬物を、もう一度食べたいなぁ。
「ぬか床づくりはたいへんだよ」。祖母がいつも言っていたが、あの味を覚えているうちに一度挑戦してみようかな。

(2005年5月)