スタッフエッセイ 2005年4月

「有り難い」ごちそう

森崎和代

 「今日の夕方、宅急便でイノシシの肉が届くかも」娘からのメールである。え〜、なんでまた?イノシシの肉って?!聞けば、クラスメイトのお父さんが狩り好きで、仕留めたイノシシを庭で掻っ捌き、その新鮮な肉を送ってくださるというのだ。お父さん自らが庭で捌いたイノシシの肉が届くなんて、「ありがたい」本当に「有り難い」ことだ。そして夕方、真っ赤なイノシシの肉の塊が冷凍で本当に届いた。戸惑い半分、御礼の電話をかけた。「珍しいものをありがとうございます」「いやいや、イノシシなんかその辺にいっぱいおりまっさかい(笑)」「ぇ・・・・(汗)」「食べ方わかりますか?」「いいえ」ということで、教えていただいたのは、塊肉(あの大きな、毛むくじゃらのイノシシをこんなきれいな肉の塊にされるとは驚きだ)を3ミリぐらいの薄さに削ぎ切りして、根菜類をいっぱい入れ、味噌仕立てでいただく牡丹鍋。イノシシの肉は牡丹の花に例えられる通り、あざやかな真紅で、思ったより臭みもなく、意外にもやわらかく本当に美味しかった。我が家で、新鮮なイノシシが食べられるとは、有り難いことです。ごちそうさまでした!(同じく送ってもらったもう一人の友達は、「アクがいっぱい出て、舌がしびれた。イノシシは恐い」といっていたらしいが・・・)。

 そういえば、シカの刺身を食べた事もある。吉野の山に住む友人の家に遊びに行った時、同席した人のお父さんが仕留めて、九州から送ってくださったらしい。「おいしいから」と言われても、生肉はちょっと・・・それもシカ・・・。しかし、何度も何度も勧められ「えいやっ!」とばかりに、醤油をたっぷりつけ口の中へ放り込んだ。「・・・・・おいしい!」驚くことなかれ、シカの刺身はとても美味だ!マグロの刺身を食べているようで、しかしこの歯ごたえはなんとも言えない。それからは、恥ずかしながら、もう2度と口に出来ないかもしれないとばかりに、あつかましくパクパクいただいた。ごちそうさまでした!

 そして、つくし。はかまを取っているうち、エイリアンに見えてくるのだが、卵とじにすると美味しい。一晩水に漬け、下茹ですると、きれいな黄緑色の茹で汁、まさしく春の色だ。少々のだし汁に、砂糖としょうゆとお酒で味付けし卵でとじる。少しほろ苦味があってこれも美味。この辺でも、袋いっぱいのつくしを持っている人を散歩の時に見かけたが、なかなかそう採れるものではない。それを、袋いっぱいいただいたのだから、有り難い。ごちそうさまでした!

 何でも食べてみないとそのおいしさはわからないものだ、と実感したこの3つのごちそう。めぐり合うチャンスがあれば少しの勇気をもって、これからも 「有り難い ごちそう」の数々に出会いたいものだと思う。

(2005年4月)