スタッフエッセイ 2004年7月

旅に出よう!

下地久美子

 5月に、年報の取材で、沖縄へ行った。家族旅行以外で、旅行へ行くのは、何年ぶりだったろう。1ヶ月前から、ガイドブックを隅から隅まで熟読し、準備万端整えて、心軽やかに、いざ、出発。あいにく、沖縄は、前日から梅雨入りしたとかで、天気が心配だったが、ほぼお天気にも恵まれた。
 それにしても、子どものいない旅行というのは、なんという開放感。自由気ままに行動でき、グルメ&買い物三昧。那覇・国際通りのナイトクルージングを満喫した。ゴーヤチャンプルーにはじまって、グルクンのから揚げ、テビチ、ラフティ、スクガラス豆腐、ソーキそば、タコライスと、ご当地グルメを、とことん味わい尽くし、すっかり沖縄フリークに! 果ては、5年後には、FLC沖縄支所を開設したいねぇ〜と、スタッフの間で、夢が大きく膨らんだ。
 もちろん、遊んでばかりいたわけではなく、目的は、あくまで沖縄戦の取材。2日にわたって、「ひめゆり平和祈念資料館」と「沖縄県平和祈念資料館」を訪れた。沖縄というと、太陽がいっぱいリゾート天国というイメージが強いが、一方では、火炎放射器の焼け跡が生々しい壕や学徒たちの慰霊碑が数多くあり、ここは、60年前に、日本でただひとつ激しい戦場になった場所なのだということを思い起こさせる。沖縄戦では、20万人もの人々が犠牲になり、草木が1本もない焼け野原となったそうだ。
 「ひめゆり平和祈念資料館」で、ひめゆり学徒隊の生存者で証言者として活動を続けていらっしゃる宮良ルリさんにお話を伺った。詳しくは、年報14号に譲るが、その中で、戦前、軍部の教育によって、みんなが自分で考える力をなくし、信じ込まされ、戦争へと駆り出されていったこと。それによって、多くの命が犠牲になったこと。だから、どんな状況でも、自分の頭と心で感じ、考えることをしないといけないと、繰り返しお話くださったことが、とても印象に残った。
 今の日本は、だんだん戦前の日本と似てきていると宮良さんは、言う。イラクのことも、北朝鮮のことも、もっと自分のことだと考えないといけない。一番恐ろしいのは、「無関心」なのだということ、平和は、そこにあるものではなく、つくるものなのだということを、今回の取材で痛感した。
 日がな一日ひたすらのんびりする旅もいいが、目的を持った旅もいいもんだと、沖縄へ行って、思った。どこの街にも、あまり知られていない歴史はある。さて、今年の夏休みは、どこへ行こうか。

(2004年7月)