スタッフエッセイ 2004年6月

よろしいでしょうか。

原田光恵

先日、銀行のキャッシュカードを再発行する手続きをとった。再発行時に書く用紙には紛失・破損・焼失・その他の項目に○をつけることになっているのだけど、一瞬○つけに躊躇してしまった。ちょっと恥ずかしくて・・。
ある日、ATMにカードを入れて番号を押すと、出金出来ない。あれっ、押し間違い?と思って再度挑戦。でもダメ。ウソだろ、と思いつつ、また同じ番号を押す(今になって冷静じゃなかった自分を笑うしかないが、この日はかなり焦っていた)。また「もう一度」画面。どうしよう(汗が出始める)。あっ、これかな、と思う番号を押す。「もう一度・・」。こうなりゃ、番号入れ替えて押すしかないな、数学の問題みたいやな、と頭の中で訳の分からないことを考えながら挑戦・・。すると、カードと共に「このカードは使用出来ません。窓口にお越し下さい」という一枚の紙が出てきた。その時、14時45分。最寄り銀行まで、自転車で飛ばして10分。慌てて行くものの、「あっ印鑑持ってなかった」と、頭に浮かぶ。でも、自宅に引き返す時間は、ない。
案の定、印鑑は必須だった。結局出金出来ず。30分程のドタバタ時間に疲れて帰宅した。そして、もう使えないよな、とため息つきながら、キャッシュカードをハサミで真っ二つに切ってゴミ箱に捨てた。
改めて銀行へ。よし、今日は通帳・印鑑は大丈夫だ、と確かめて窓口に行くと、「キャッシュカードは、お持ちですか」と、銀行員さんから言われる。はっ?あのカードは使えないんじゃないの?と思いながら「処分しました」と言うと、「それでは、再発行に手数料が1050円かかりますが、よろしいでしょうか」と言われた。聞いたときは、えっ!高い、と思ったが、よろしいも何もカードを作るために窓口に来ているのに、今さら何言うの?と嫌な気分になった。そして「前はカードのことを何も言われなかったですよ」と、言っても無駄なことを思わず返してしまった。結局は、手数料を支払い手続きは完了したけど、銀行を出てから「手数料なんて払えません!」とごねれば何とかなったのだろうか、ちょっと理不尽なことを考えながら、気分は何となくもやもやした。
「よろしいでしょうか」と言われても他の選択肢はない。でもこれって「あなたが最終的に決めたんですよ、私の意見じゃないですから。」と思わせるよなぁ、言われた本人がますます無力になるよな、と気付いて、もやもやした気持ちの原因が理解出来た。
それに、「よろしいでしょうか」は、人と繋がりを作っていく場所で、結構使われているような気もする。困った話し言葉だな、と思う。
「手数料が1050円かかります、ご了承下さい」と言われたなら、相手の気持ちを受けとって、まぁいいか、と思えたけどなぁ。
今回の体験は困ったもんだな、と思ったけれど、話し言葉は使っていて難しいな、と思う時はたくさんある。それでも、人とはいい繋がりを持ちたいので、その時その時、気をつけながら、そして大切にしながら、使っていきたい。
さて、最近の私の話し言葉、大丈夫かな、と自戒を込めて振り返ってみた。
あ゛っ、使っていた・・。しかも昨日の朝に。
「今日の(学校へ持っていく)昼ごはん、パン(購入)になるけどいいかなぁ」
マズイ、気をつけよう。

(2004年6月)