スタッフエッセイ 2004年5月

海へ!山へ!

村本邦子

 最近、年を取ったせいなのか、体が自然を欲しているような気がする。海に潜ると、個の境界を超え大洋の生命と一体になって、地球のエネルギーを体にチャージすることができる。山に登れば、むしろ、精神が尖鋭になって自分自身が木霊とともに気化するような感覚を味わう。いずれも、自分を浄化する貴重な時だ。
 昔から自然の中にいるのが好きだった。田舎に住んでいたので、時間があれば、一人で近所の山に登ったものだ。男女混合の仲良しグループで日曜ごとにハイキングをしていた頃もあったな。思春期には、山の上の草原に寝そべり、大空を流れる雲のドラマを飽きもせず、いつまでも眺めていた。そう言えば、本気で仙人になりたかった頃もあったっけな。無性に一人になりたい時、海に遠出し、フェリーに乗って島へ渡ることもあったっけ。それでも、体から突き上げてくる自然を欲する今のこの感覚はなかった。細胞が呼吸したがっているかのように自然界のエネルギーを求めている。この感覚はいったい何なのだろう?
 大阪に住んでいても、小さな自然には出会える。川沿いの木立や季節の花々だ。ちょっと足を伸ばせば、日帰りで山や海に出かけることが可能だ。ただし、日常から離れるのに、多少の思い切りが必要だ。生活のペースをつくり、日常のなかに体を動かすことを取り込んで、体調を整え、休日には思い切って遠出をしよう。それが気持ちよく長生きするためのコツのように思える。
 自然と一体になって体と心を超える体験をすることは、私にとって、間違いなく、スピリチュアルな体験なのだろう。そろそろ人生後半をどう生きるか考え始める時期だ。

(2004年5月)