スタッフエッセイ 2004年3月

2度あることは・・・。

原田光恵

先月、立て続けに落とし物を拾った。

 朝の出勤途中、電車に乗りこむ前にホームでマフラーを拾った。そのマフラーの持ち主は、ヘッドホンをつけている若い男の人らしき人。拾ったときマフラーが暖かかったので、きっと身につけてたのが落ちたのだろうけど、落としたのを全く分かってなかった様子。手渡した時に、頭を下げて「どうも」って言ってくれたものの、電車に乗ってから“マフラー落として気が付かないってこと、あるのかな。手渡したの、却ってマズかったかな”と思ってしまった。
 その日の晩、仕事で帰りが遅くなった。くたびれた足どりで駅の階段を上っていると、今度はカラフルな手袋が横で落とされた。持ち主は小学生の女の子。一瞬、朝の“お節介”がよぎったが、“大事な手袋じゃないかな”と思い直し、拾って女の子を追いかけた。でも、その女の子相当急いでいたようで、くたびれた足ではなかなか追いつかない。追いついたとき、「もしもし」って呼び止めるのがやっとだった。いきなり呼び止められて女の子がびっくりしていたので、慌てて「落としましたよ」と手袋を差し出すと、ぱっと顔が変わって「ありがとうございます」と返ってきた。その顔を見ただけで、走った甲斐があったな、と思えた。手渡した後、にんまり顔になってた私(傍目には怪しかったかもしれない)。

 次の日の朝、また落とし物を拾った。しかも出勤途中の電車に乗り込む前に。2度あることは3度ある、さすがにその時は重なる偶然に思わず笑いをかみ殺した。今度は親子のマフラー、小さなポンチョと手袋。ただこの落とし物、ホームにある待合室の横にちょこんときれいにたたまれていたので、“落ちてた”より“見つけた”が当てはまる気がした。さてどうしたものか、と思っているとホームに電車が到着。今回は落とし主に渡せずだな、とちょっと諦めモードでいると、ちょうど目の前に親子がいる!偶然その人と目があったので声を掛けてみると、無事マフラーとポンチョと手袋は持ち主の手に。電車に乗ってから、にんまり顔をこらえるのはちょっと苦労した。

 落とし物を手渡すやりとりはトラブルになりにくいとは思う。偶然のシチュエーションで今回の出来事は関わり自体楽しんでしまったが、それでも最近、見ず知らずの方に声を掛けるのは、なんとなく躊躇してしまいがちだ。一瞬“余計なお節介”が頭をかすめる。通り過ぎればその場だけのことなので、関わりから外れることも出来る。でも・・・。“お節介”と思われるかもしれないその場だけの関わり、やっぱり気にしていきたいな、と思い直す。

 そして、つい最近。また同じようなシチュエーションに出会った。朝、出勤時、今度は駅の改札前で、春物のマフラーが落ちていた。あぁ、今度こそ持ち主に渡せないな、と思っていたら、改札口から持ち主が戻ってきて・・・。何か私呼ぶモノがあるのかな?

(2004年3月)