スタッフエッセイ 2004年3月

おいしい世代連鎖

窪田容子

 親元できょうだいたちと集まって食事をしたときのこと。母の手料理を「これ、おいしいなぁ」「おいしい、やめられへんなー」「あぁ、おいしかった!食べ過ぎたー」「満腹!ごちそうさまー。」と食べ終えて、可笑しくなった。「私たちって、よくおいしいって言うよね。」「ふふっ、そう言えば、結婚して初めの頃、彼がおいいしいって言わへんから、まずいと思ってるんかと思ったことあったわー。」「えー、私も。でも、おいしいと思っていても、言わへん人は、それが普通みたいやな・・・」
 こんな家で育ったから、私は今でも、おいしいと言いながら食べる。夫の手料理はもちろんのこと、自分の作った料理でも、おいしいと感動しながら食べる。そんな家で育っているから、子どもたちのおいしいの表現がまた可笑しい。まずいときもストレートに言ってくれるが、おいしいときには「おかーさん」と目をきらきらさせて、「今まで食べた中で一番おいしい!」なんてことを言ってくれたり(昨日も聞いたゾ、そのセリフ)。そうすると下の子も負けじと「おいちー!」と声を張り上げる。「めっちゃ、おいしい!」と感動で泣くまねをしたり、「ベリーベリーベリー・・(続く続く)・・・グッド!」と言ってみたり、その時によっておいしいの表現に、いろんな流行りすたりがある。つい先日はお肉をほおばりながら、「世界に一つだけの花」をもじって、「世界にひーとつだけーのにーく(肉)!」と子どもが口ずさんでいて、笑ってしまった。
 ある講座の講師をした際、「今、人にもらいたい言葉って何ですか?」と受講者に尋ねたら、「自分が作ったご飯を、おいしいと言って欲しい」と言われた方が何人かおられた。おいしいと言葉に出して言わない家庭も少なからずあるのだなと、改めて思った。
 家族においしいと言って欲しいなら、まず自分から自分の料理に感動して「おいしい!」と言って食べてみるのも良いかもしれない。そうすれば、おいしいは、きっと世代連鎖するかも?!

注)おいしいを、強制しないようにね(笑)。

(2004年3月)