スタッフエッセイ 2003年12月

子どもに学ぶ〜人とのつながり、そして平和

西 順子

先日、子どもの友達の母親から、中学生の娘が学校で「喧嘩の仲裁にはいった」という話を小耳にはさんだ。えっ、何のこと?と、早速、家に帰って娘に聞いてみた。「学校で喧嘩をとめたって聞いたけど、何があったの?」と。

娘から聞くところによると、教室で男子二人が殴りあいの喧嘩をしていたという。周りにいた子たちはそれを見ている状況だったらしい。喧嘩に気づいた娘は、咄嗟に「あんたら、何してんの〜!」と二人の中に割って入ったと言う。同時に、他の男子も止めに入り、そこで喧嘩は終わり、あとは皆で教室を片付けたという。

その話を聞いて、えっ、なんでそんなことができるの?と驚いた。娘に「怖くなかったん?」と聞いてみた。娘は「自分も殴られるかと思ったわ〜」と、あっさり。それを聞いて、また驚く。自分が殴られると思っても、喧嘩をとめに入れるものなのか・・と。思うに、娘は頭で考えている暇もなく、咄嗟に体が動いたのだろうと。しかも、そのことを特別のことと思うのでもなく、ただ淡々と日常の出来事として話してくれたことにも驚く。そしてまた、喧嘩していた生徒はその後先生に怒られたと言うが、その生徒に対して「でも、友達やからな〜」と、声をかけたと言う。それにもまた驚いた。

私には出来そうにもないこと、それをいつの間にか子どもは当たり前のことように淡々とやってのけていた。喧嘩を止めたのは、勇気を出したのでも、正義感からでもなく、ただ、子どもにとって、クラスの人は「友達」、ただそれだけのことだったようである。

この話を聞いて、子どもは親が思っている以上に親から離れて、自分と人、世界とのつながりをつくり、そのつながりの中でしっかり生きているんだなと思った。私が子どもに繰り返し伝えてきたこと、「自分を大切に、人も大切に」を、子どもは親の意図を超えて、しっかりと自分のものにして生きているんだなと思うと、子どもがまぶしい。勉強、将来のことなど、まだまだ心配なところはたくさんあるけれど、それでもきっと、周りの人と共に、この世界にコミットして、何とか生きていけるだろう、と思えた。

でも、世界の情勢は不安定である。日本のイラク派遣、今一番気になる問題である。人の命が、ないがしろにされることに、憤りを感じる。命より重いものはない。子どもたちの未来の平和と安全を守りたい。私に何ができるのか、子どものような率直な行動力が私にはあるのか・・と問われているような気がする。

(2003年12月)