スタッフエッセイ 2003年9月

どこまでいくの?最新ペット事情

下地久美子

 昨今のお犬様ブームは、半端じゃない。バーバリーのレイン・コートやエルメスのリードが飛ぶように売れ、常に品薄状態。つい先日も、リーガロイヤルホテルに犬専用のホテルが誕生し、デラックスルームは人間より高い1泊28000円というから驚き。トレーナーが24時間体制で監視してくれて、その映像を携帯電話でモニターできるというサービスぶり。
また、「犬がよろこぶおやつレシピ」なんて本もあれば、犬用バースディケーキを販売する高級ドッグフード店に、ペットと食事ができる「犬カフェ」まで登場。犬のストレスを解消するための「ペットと聴くクラシック」というCDに、犬の鳴き声を翻訳してくれる「バウリンガル」も大ヒット。美容関連も人間顔負けで、死海の塩を用いた泥パックやカラーリング、犬専用フレグランスまであるそうだ。
 犬は、家族の一員か、それ以上の存在になりつつある。なぜ、ここまで犬がもてはやされるようになったのか。その理由を分析してみると、1.愛情をかければかけるほど、犬はこたえてくれる。2.犬を思い通りに育てる楽しみ。この2点が大きいのではないだろうか。人間の子どもは、どれだけ手やお金をかけても、理想どおりにいかないわ、愛情をかけても鬱陶しがられるわで、あり余った愛情が、犬に向かっている気がする。そして、それは、自分自身が愛されたいという気持ちのあらわれでもある。
 人間関係は、気を遣うし、疲れることばかり。そんな時に、可愛いペットの姿を見ているだけで心が和むうえ、一心不乱にじゃれついてきてくれると、「そんなに私が好きなのねぇ〜よしよし」と、満足感が広がるのも無理はない。犬は、人間のように不平不満も言わなければ、こちらのペースで付き合えるといいこと尽くめ。
 犬は、文句なく可愛い。でも、あまりにエスカレートしすぎの風潮に、疑問を感じるのは、わたしだけだろうか・・・。ペットに入れ込むのが、人との関係では満たされないものの穴埋めだとしたら寂しいし、ペットもいい迷惑だろう。人とつきあうと、傷つくこともあるが、芯から癒されるのは、友だちや家族の何気ない優しさだったりする。ペットもいいけど、まず、自分の近くにいる人との関係を見つめ直すことも、大事なんじゃないかな・・・。

(2003年9月)